• テキストサイズ

雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第21章 隠れ家 1


光希は無一郎の事が苦手だった。

表情が乏しく、思考が読みにくい。
義勇のそれとは何か違う。何かがすっぽ抜けているような感じ。
なので、いつも淡々と任務をこなす。呼吸の相性は悪くないので問題はない。


「あれ、君、何処かで会ったっけ?」

そう。毎回この第一声がムカつくのだ。悪気がないので余計に腹立つ。


「はい。何度か。如月光希です。今回もよろしくお願いします」

適当にかわす。
どーせ覚えてないもんねー。三回目ですけどねー。


「光希……?逆転の子?」
「! そうです」

……覚えてた。初めてだ。まあ別にどうでもいいけど。珍しいこともあるもんだ


「行こう」
「はい」

無一郎との任務は鬼を探すのに手こずり、任務を終えるまでに三日もかかってしまった。苦手な無一郎との長期任務となり、光希の心労はかなり溜まっていた。



「お婆さん、お怪我はありませんでしたか?」


倒壊した塀に潰されそうになったお婆さんをギリギリのところで助けた光希。
戦闘が終わった後に駆け寄って無事を確認した。


「助けていただいて、ありがとうございます」
「ご無事で良かったです」

そんなやりとりを無表情で見ている無一郎。


任務の帰り道。

「なんで助けたの?老人なのに」
「……おっしゃる意味がわかりません」
「老人を助ける優先順位は低いでしょ。それで君が怪我してんだからさ。君が戦えなくなったらその他の人間も守れないんだよ」


お婆さんを助ける際、深手ではないものの鬼の攻撃が光希の腕をかすめた。


「命に優先順位はないと思います」
「あるよ。老人は一番下。特殊な力を持っているとかなら別だけど。助けたところでその後の寿命を考えればわかるでしょ」


握った手が震える。
やっぱりこいつ、好きになれない。


「俺は、お年寄り、好きですから」
「好きとかじゃないんだよ」
「お年寄りは大切にしなきゃ駄目です」
「それこそ言ってる意味がわからない」


これ以上話すとブチ切れそうで、光希は必死で心を抑える。


/ 1083ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp