第21章 隠れ家 1
「ココダ!」
寛三郎が叫ぶ。
善逸がこっそり地図で確認するが、間違いない。笑いそうになるくらい、見事なまでに冨岡邸と蝶屋敷のど真ん中である。
「うわ、でっか……柱の財力やばくね?」
「嘘でしょ……」
寛三郎にお礼を言うと、冨岡邸に向かって飛んでいった。
平屋ではあるものの、きれいな和風の建物。庭付きで広い家だった。
「お邪魔しまーす……」
と、何故かおそるおそる入る二人。
風呂もあり、広い台所。
水道はなかったが、水ポンプはある。
二人は探検するようにきゃっきゃといろんな部屋を開ける。開けていくうちに、段々と焦りだす。
「ちょっと凄すぎる……」
「やべえ、こんな家もらえねぇよ……」
「だな……」
焦る二人。
「ん?あれなんだ?」
光希が指を差したところに荷物が固めて置かれていた。
「ああ、冨岡さんの荷物が置いてあるって言ってた。それじゃね?」
「そっか。なんでこっちに……」
「さあ」
「ふぅん。訳ありだな。まあ詮索はなしだ」
「だな」
「さて、場所もわかったし、善逸どうする?」
「え」
「蝶屋敷帰るか?」
「お前、まじで言ってんの?」
「んー?」
善逸は光希に抱きつく。
「それに、いつまでその言葉使ってんの?」
「へへへ」
「やっとくっつける。あー嬉しいよー嬉しいよー」
「ふふ、よく頑張りました」
「本当だぜ。喧嘩もして、超疲れたっつの」
「誰のせい?」
「俺です」
そう言うと善逸は光希に口付けした。
喜びを分け合うように口付けを交わしていると、玄関に人の気配がした。
「ごめんくださーい」
びくっとして二人は身体を離す。
「はい」
善逸が対応しに玄関へいく。
「ここ、ずっと空き家だったんですが、今日から人が住むと聞いたもので……」
「あ、はい。そうです。俺です」
「冨岡さまのお知り合いだとか」
「そうです」
「お一人ですか?」
「はい」
男性と話す善逸。
はきはきと話しているところをみると、おそらく義勇と打ち合わせ済なのであろう。
毎日ではないといえ、ここで暮らせるんだな……と天井を見上げる。