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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第21章 隠れ家 1


冨岡邸近くの竹林を抜ける。

「どっちですか?」
「アッチダ」

寛三郎が言う方向へ歩く。
光希が振り向いて、善逸に小さな紙を渡してくる。義勇の地図だ。


「これ……」

善逸が地図を見て声を出すと「しっ」と口元に手を当てる。


「ありがとうございます、寛三郎さん」

なんとなく理解した善逸。黙って道と地図があってるか確認している。


……これ、鴉はいらないんじゃないか


善逸はそう思ったが、確かにわかりにくいところにありそうな感じなので、念の為なのだろう。


「俺は怒ってないよ」

突然光希が話し出したので驚いて地図を破りそうになった。
光希の歩く速さが少しゆっくりになる。


「嘘じゃん。めっちゃ怒ってるんじゃん……」
「いや、もう怒ってない」
「じゃあ何だよ」
「いいんだ、俺の問題だから」
「何だよ、それ」

「お前の女好きは治らない。それがよくわかった」
「違うよっ、あれは、寝ぼけたから……」
「繕わないときに本音が出るんだと思わないか?」
「うっ……、いや、本当に!俺は光希一筋で」
「もういいよ」
「いや、本当なんだって、」
「もういいって、言い訳すんな」
「ぐっ……」
「今のお前が何を言って取繕っても、何の効果もない。違うか?口から出た言葉は取消せない。そうだろ?」
「ごもっともで……」


婚約破談が善逸の頭をよぎる。
口論でこいつに勝てるわけがない。

善逸は猛烈に落ち込んだ。


「……『俺の問題だから』って何。どういうこと。俺どうしたらいいの」

「……考えろよ。お前は馬鹿か。落ち込んでる暇があんならとりあえず頭使え」
「……え?」
「手がかりいっぱいやってんだろが」
「何が?わかんないよ」


「だーーっ!もう本当に頭悪いなぁお前は!この女ったらしの黄色頭!!!」
「なんだと!わかるわけねえだろ!お前の手がかりの出し方が悪いんじゃねえのかよ!人の事ばっかり馬鹿馬鹿言うんじゃねえよ!」

「うっせえ!じゃあ、もう教えてやんねーよ、ばーか!自分で考えろ。まあ百万年あっても答えは導き出せないだろうがな!」
「はいはい、あっそう。どうせ俺は馬鹿ですからねー」


林を抜けた所で大喧嘩が始まった。


寛三郎も「落チ着ケ!落チ着クンダ、義勇!」と肩で騒ぎ、その場はカオスと化していた。

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