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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第20章 祝宴


「家、ありがとうございます」
「諸注意は我妻にしておいた」
「諸注意……?なんだろ。俺も知っておいたほうがいい事ですか?」
「いい。こいつに全部話しておいた」
「そうですか」

光希はおちょこの酒をぐびっと飲む。

「胡蝶さんの発案ですよね?」
「………」
「あの手紙……」
「………」
「もー、すぐ黙る」
「………胡蝶とは別に」
「はいはい。今度胡蝶さんにあったらお礼言っときます。なんの事でしょう?ってとぼけられるでしょうが……」
「……そうだな」

光希はしのぶからの手紙に「二人に家を貸してやれ」と書いてあったと予想していた。義勇の反応から、それは合っていたのだとわかる。

二人の関係までは分からないが、無関係ではないとずっと思っていた。別宅の存在を知っていたことから、おそらく過去になにかあったのだと考える。


「お前は、頭がいいな」
「ありがとうございます」
「頭が良すぎて……、困ることもある」
「はは……」


「お前はやはり、指揮官に向いている」
「………」
「柱になれ」
「嫌です。水柱はもう居ます」
「俺は柱じゃない」
「……前にその話で喧嘩したじゃないですか」
「………」
「俺は柱になりたくない。たとえあなたが死んで水柱が不在になったとしても全力で拒否します。理由も説明したはず」

「お前が指揮官になれば沢山の隊員が助かる」
「逆です。死にます」
「………」
「俺が将棋が強いのは、捨て駒の使い方が上手いからです。飛車だろうが角だろうが平気で……捨てます」
「………」
「指揮官にはなれません。なりたくない」


「今日の手合わせ」
「善逸との?」
「こいつの最速技を、捨て技にしたな。あれはお前の指示だろう」
「はい」
「そういう指揮をとればいい。人を活かす軍師になれ」

「活かすには……知らなきゃいけません」
「そうだな」
「俺は何人の隊員の特性を覚えたらいいんだ……」


隊内で、「光希を指揮官に」という話は実際に上がっていた。
しかしまだ入隊一年目で、柱たちからも可愛がられている光希をよく思わない者もいる。


だが、隊はいずれは光希を上に立たせるつもりだろう。



「我妻と一緒になら、柱になるか」

義勇は酒を飲みながら聞く。


「……なりません」

光希が笑いながら答えた。


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