第20章 祝宴
夜も更けた。
義勇も満足したようで、善逸を寝かす為に客間に運ぶ。
光希が客間に布団を敷き、義勇が善逸を降ろす。
「おやすみ」
そう言って布団をかけてやる。
大きさの合わない着物を着て、嬉しそうな顔をして眠る少年に、ふっと笑みが溢れる。
緊張したり手合わせしたり気を遣ったり戸惑ったり……、彼にしては相当頑張った一日だったろう。
お疲れ様、と心で労う。
部屋を出て、義勇と並んで廊下を歩く。
「義勇さん、善逸がいろいろとすみませんでした」
「無礼講だ」
「ありがとうございます。明日は」
「昼頃からだ」
「わかりました」
「我妻は」
「適当な時間で帰します。飲んだ量は多くないので大丈夫かと」
「もし午前中に起きたら二人で家を見てこい。鴉を貸してやる。そのままあいつは蝶屋敷に帰ればいい」
「なるほど。ありがとうございます。朝、善逸を叩き起こします!」
義勇の部屋の前で頭を下げる光希。
「本日は祝宴をありがとうございました。おやすみなさい」
「ああ」
義勇は部屋へと入っていった。
光希も酒がいい感じに回って、貧血も相まって眠くなってきた。
布団に入るとすぐさま眠りに落ちていった。
よく覚えていないけれど、幸せな夢を見た気がする。