第3章 藤の花の家で
「うおおおおお!!!」
「なんじゃこりゃー!!すっげー!!」
と喜ぶ炭治郎と光希。
すぐに二人は善逸の所に駆け寄り、「凄いな!」「やるじゃねぇか!」と善逸をもみくちゃにした。
その後、光希と炭治郎は他の型でも試し、違う型同士でもやれることを確認した。
二人とも技の出し過ぎでバテたので、水を飲みながら休憩する。
「やっぱり支援技だったのか。師範の言ってたのはこのことだったんだ」
「共闘の時、使えるな。がっちり合えば凄い威力になる」
「水の呼吸ならいろんな技と合わせられたけど、他の呼吸とは合わせられるのかな……」
じっと善逸を見る。
「いや、雷とは無理だろ」
「だよな、雷は速すぎて追いつけない」
「今度伊之助と試してみたらどうだ」
「そうだな、頼んでみよう」
光希が嬉しそうに水を飲む。
「それにしても、凄いな。これは光希にしか出来ない技だな。技が逆に回るなんてな」
「まあ、一人で出してもただ逆回転なだけだけどな」
「でもなんで逆回転なんだろう」
「天の邪鬼な性格だからだろ」
「なんだと、この野郎」
「性別も逆回転してっし」
「うまい、座布団一枚って、おいこらっ!」
喧嘩が始まるかと思った炭治郎だが、なんてことはないじゃれ合いだった。
「さて、帰ろうか」
光希が立ち上がる。
「本当にありがとう、炭治郎。疲れただろ、ごめんな」
「いや、俺にもいい鍛錬になった。合同任務があったら使えるといいな」
「そうだな」
「善逸もありがとうな」
「おう。恩に着ろや」
「今度二人にお礼したいな。何がいいか考えといて」
「え、いいよ、気にしないでくれ」
「俺は貰う。美味いまんじゅう買ってこい」
「了解。じゃ、炭治郎には何か俺が選んで買ってきてやる。楽しみにしといて」
ご機嫌な光希はにこにこ笑ってそう声をかけ、「じゃ、俺は鍛錬のために走って帰るわ!じゃな!」と駆け出した。
こんなにクタクタになるまで鍛錬したのにまた走り出す光希。本当に止まってない奴だなぁ、と善逸は溜息混じりで追いかける。
炭治郎も疲労困憊の中、二人に負けてられないと走り出す。
結局三人共、屋敷まで全力疾走することになり、光希と炭治郎は屋敷の前で倒れた。