第3章 藤の花の家で
回転が、逆?そんなことってあるのか??
「水の呼吸、陸ノ型、ねじれ渦!」
もう一度違う技を出す。
「やっぱり逆回転だ」
「水面斬りとか干天の慈雨とかは普通なんだけど、回転系のものは全て逆回転なんだ」
「……そうなのか。あ、左利きだからか?」
「いや、剣術に利き腕は関係ないから……」
「確かに」
「直そうと頑張ったんだけど、直らなくて。
そしたら師範が、『直さなくていい』って言うんだ。『お前の逆回転技は共闘に使え』って」
「共闘?」
「ああ。よくわかんないんだけどな。試してみたいんだ。炭治郎も水の呼吸だし、手伝ってくれ」
「もちろんだ」
まずは同時に技を出してみることにする。
「ねじれ渦であの木を狙ってくれ」
「わかった」
「行くぞ!」
「「水の呼吸、陸ノ型、ねじれ渦!」」
二人同時に技を出すと、技同士がぶつかり合って、木に当たる前にドォンと音を出して消えた。お互いに弾き飛ばされる。
「あれ、相殺されちまった!」
「なるほどな。位置変えてみるか」
炭治郎の提案で左右入れ替わって再び技を放つ。
が、今度は先程より手前で相殺されて消えてしまう。
「駄目か……」
「でも、技が当たったときに、威力が増している気がする。上手く行けば力が倍増するのかもしれない」
冷静な炭治郎がいろいろ分析してくれる。
「前後、に立ち位置とってみるか?」
「やってみよう。光希が前で、俺が少し後ろで試してみよう」
再度試した。
立ち位置により時間差が生まれ、光希のねじれ渦が先に木にぶつかり、後を追って炭治郎の技が木に届いた。
「これだと、ただの二連撃だな」
「じゃあ……」
「逆だ」
ずっと見ていた善逸が口を開く。二人は岩に座る善逸を見る。
「炭治郎が前、光希が後ろ。それか、炭治郎が先に技を出して光希が後から追いかけるんだ」
二人は頷いて「やってみよう」と言った。
炭治郎が技を出した後に、追うように同じ技を出す光希。すると光希の技は炭治郎の技に乗っかり、波紋が倍ほどの大きさになった。そのままスピードと威力をあげていき、大木が粉砕された。
目を丸くしてその威力に驚く二人。