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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第19章 宣言


光希とのやりとりを義勇に気付かれないように、全力で打ち込み続ける善逸。
そのまま光希の指示に耳を貸す。


『いいか、俺の言うとおりに言え。「冨岡さん、ちょっと、大きい技出したいから、外に移動してくれませんか?」』


「……はぁ、はぁ、冨岡さん。ちょっと、大きい技を出したいので、外に移動してもらえますか?」
「………」
「ここ、壊れちゃうので」
「いいだろう」


義勇と善逸は庭に移動する。
移動する時に光希は善逸に駆け寄る。

『適当に話し合わせろ』と善逸に囁く光希。


庭に向かう途中、今度は義勇に聞こえるぎりぎりくらいの声で話す。

「だから、胡蝶さんの……ほら、最近蝶屋敷によく来てる…男の……」
光希が声を潜めながら善逸に話すと、善逸も詳細がわからないなりに乗っかる。
「ああ、あの、薬屋の……」
「そうだ。その男と胡蝶さんの……」

庭にいくまで、作戦会議を装って、「胡蝶さん」「男」「よく来てる」などの言葉を義勇に聞かせる。


そして稽古再開の直前に、善逸にしか聞こえない声で本当の指示を出す。


「我妻、ここなら、いいか?」

『外なら神速、いけるか』

「はい。いけます」


二人のからの問いかけに、一つの回答で返す。
はぁはぁ、と呼吸を整えながら光希の指示を聞く。


『神速を使えば義勇さんは凪を出す。神速でも当てられない。だが、神速で確実に背後まで抜けろ。凪で躱された後、すぐに背後からもう一度霹靂一閃だ。技の連発になるけど、いけるか?』


「ふぅ、いきます」
「いつでも来い」


光希の作戦を聞くと、善逸は雷の型の構えをとる。疲労が溜まった足に、ありったけの力を込める。一発勝負だ。


『集中したままで俺が言う言葉を繰り返せ。意味は考えずにそのまま口にしろ。義勇さんが隙きをみせたら走れ。いくぞ。「冨岡さん」』

「冨岡さん……」


『家は俺がいただきます』
「家は俺がいただきます」


『でも、本当に良いんですか?』
「でも、本当に良いんですか?」


『その家、しのぶさんと一緒に住む為の家なんでしょう?』
「その家、しのぶさんと一緒に住む為の家なんでしょう?」


瞬間、義勇の集中が僅かに乱れた。
善逸が走る。


「雷の呼吸、壱の型、霹靂一閃・神速!」


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