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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第19章 宣言


義勇の部屋の前に着いた。
光希は一度善逸の方を振り向く。

光希は不安げな顔を浮かべる善逸の肩を、ぽんと叩く。そして、極上の笑顔を見せた。


これは光希の必殺技である。案の定、善逸は少しだけ回復した。


……よし。『この笑顔を守るためにも』とか思ったな、善逸。ちょろいぜ

光希が脳内でそんなことを思っているとは知らない善逸は義勇と対峙する覚悟を決め、光希に頷いた。


「義勇さん、入ってもよろしいでしょうか」

光希が声をかけると「入れ」と聞こえた。
扉を開け「失礼します」とそれぞれ声をかけて入室する。

下座に座り、頭を下げる。


「ご無沙汰しております。如月光希、只今戻りました。遅くなりまして申し訳ございません」
「……ああ」
「こちら、胡蝶さまよりお預かりしました。お土産と、手紙です」

光希は包と手紙を義勇に差し出す。
義勇は受け取り、手紙を読み始めた。



……今、読むの?

光希と善逸は驚き半分で義勇を見る。

まだ善逸一言も喋ってないのに。一応呼び出されたとはいえ客人なのに……

凄い勢いでほったらかしである。
やや後ろに座る善逸を見ると、やはり彼もポカンとしている。

光希の目線に気付いたのか、善逸が『俺、どうしたらいいの?』と縋るように視線を送ってくるので、『ごめん、こういう人なんだ。そのまま待ってて』と返す。


手紙を読み終わると腕を下ろし、義勇は善逸をじっと見る。
善逸は、はっとして頭を下げる。


「ご無沙汰しております。我妻です。お呼びとのことでしたので如月に同行してまいりました」


義勇は善逸を黙ったまま見ている。
善逸は頭を下げたまま、だらだらと冷や汗を流している。

……え、何でこの人何も言ってくんないの?怖いんだけど、まじで。なんなの?

善逸が地獄を味わう中、光希は手紙の内容を考えていた。義勇のこの目線は、おそらくそれと関わっている。多分それ故、義勇は今の善逸の挨拶を聞いていなかった。返事がないのも悪気があってのことではない。


「……義勇さん、善逸は挨拶しましたよ。応えてあげてくれますか?善逸が緊張で死んでしまいます」

光希が優しい声で呼びかけ、助け舟を出した。

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