第19章 宣言
離された手が寂しい。
でも、二人の気持ちが変わったわけじゃない。
それを確認したから、大丈夫。
光希と善逸は、そう心に言い聞かせながら並んで歩き、竹林に入る。
「おお、凄いな」
「なかなかの眺めだろ」
「もうすぐか?」
「ああ」
村に入ると、子ども達が走ってきた。
「兄ちゃん!!」
「え、あっ!本当だ!兄ちゃんだっ!!」
「兄ちゃーん!!」
「おー、久しぶりだな。元気だったかー?」
光希は飛び跳ねて喜ぶ子どもたちの前に座り、目線を合わせて笑いかける。
「兄ちゃんどこ行ってたの?」
「ちょっとな、お出かけしてたんだ」
「さみしかったー」
「そうかー、ごめんなー」
「おかえり、兄ちゃん!」
「ただいま。よし坊でっかくなったなぁ!」
善逸は子ども達とのやりとりを見ていたが、足元に一人走ってきたので、光希と同じように目線を合わせてやる。
「こんにちは」
「……兄ちゃん、こいつだれ?」
「こいつて。おい」
「へんなあたま」
「なんだと、こんにゃろ!」
善逸は怒りながらも笑っている。
義勇と違って子どもの扱いが慣れている善逸を見て、自然と笑みがこぼれる。
「ナツ、その兄ちゃんはな、俺の……一番の仲良しだ」
光希は善逸をそう説明した。
「いちばん、なかよし?」
「そうだ」
それを聞いた子ども三人は、善逸に近付く。
じろじろと善逸を見つめる。
「俺、善逸ってんだ。よろしくな」
「ぜーんつ?」
「ぜ、ん、い、つ。」
「ぜん、いつ」
「そう」
「……ぜん兄ちゃん!」
一番小さい子が善逸に突撃した。不意をつかれてもよろける事なく子どもを受け止める善逸。
そのまま、よいしょと抱き上げ、高く持ち上げる。
「きゃははは!」
子どもは両手を広げて喜ぶ。
善逸も笑う。
「よし坊、いいなー。ぜん兄ちゃん、おれも!」
「こらこら、俺たちはこれから用事があるんだ。遊んであげられないの」
「えー……」
「いいよ。一回ずつな。おいで」
「わあい!」
子どもたちは善逸に高い高いしてもらって大喜びだった。
「ぜん兄ちゃん、またねー!!!」
子どもたちに手を振って、また歩き出す。
「可愛いだろ。俺の癒やし」
「よく遊んでやってんのか?」
「たまにな」