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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第18章 新たな関係性


紙が、文字や地図などで真っ黒に埋まる頃、善逸の目がとろんとしてきた。昨夜は徹夜だったので当然だろう。


「善逸、寝よっか。部屋に戻って」
「……やだ。戻んない。ここで寝る」
「は?何言ってんの」
「もぉ……、む…り、眠くて歩けない……」
「何言ってるの。駄目。部屋戻りなさい」
「……やだ」

そう言って善逸は光希のベッドに寝転がる。


「ちょっと!こら、善逸!」
「大丈夫……」
「何がっ?」
「………眠いから、もう、だいじょぶ……。へんな気は、おこ、らない……だ…から、安心して、隣、で……」

そのまま言葉は途切れ、寝息が聞こえてきた。


……嘘でしょ

光希は唖然とした。


善逸は、この部屋で寝ることを諦めてなかった。眠くなるのを待っていたようだ。睡眠欲が性欲を上回るまで。
寝てしまえば光希は善逸を運べない。



……まさか、全部、計算だったのか?


善逸は光希と違って、策略を練るタイプではない。計算だったとは思えない。でも、結局善逸の望み通りになった。



ベッドに近寄る光希。

善逸の寝顔を覗き込む。
昔の面影を残す、あどけなくて可愛らしいものだった。相当眠かったのだろう。完全に熟睡している。
こんな姿見せられたら起こすに起こせない。



「……やられた」


炭治郎たちといい、善逸といい、今日は男子たちに好き放題やられている。



光希は羽織をくるくると丸め、善逸の頭の下に入れる。頭をそっと持ち上げても全く起きる気配がない。


「明日の朝、説教してやる」

そう言いながら、寝支度を始める。



支度が終わったときに、ふと思う。

善逸は寝ながら戦うような奴だ。そんな奴の隣で寝て、本当に大丈夫なのだろうか……

とりあえず多少警戒しながら身体をベッドに横たえ、掛布団をかけて様子をみる。

善逸に変化はない。
戦闘中でなければ大丈夫のようだ。


善逸の寝顔を見ていると、光希もだんだんと眠くなる。布団がいつもより暖かい。

ベッドの横の灯りを消し、光希も眠りに落ちていく。
隣に人がきた気配を感じたのか善逸が腕を伸ばし、光希の身体を抱き寄せる。



そのまま二人は朝までぐっすりと眠った。

抱き合って眠る二人は、幸せそうに口元に笑みを浮かべていた。

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