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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第18章 新たな関係性


「俺は、贅沢だ」

善逸は光希を抱きしめたまま呟く。


「前回お前がここを出ていくとき、どんなに望んでもこんなこと出来なかった。
今は恋人になれて、こうして心ゆくまで抱きしめることが出来て……あの時に比べたらとんでもなく幸せなはずのに……。やっぱり寂しくてどうしようもなくなる」


「善逸、あの頃から私のこと好きだったんだ……全然知らなかった」
「うん……好きだった。お前は?」
「わかんない」
「え、俺に口付けしといて。まじかよ」
「うーん、忘れた!」

ふふっと笑う光希。

短くなった髪が揺れる。そう、もうあの時とは違う。出会い、別れ、いくつもの経験を繰り返して人は変わっていく。
光希も、善逸も、二人の関係性も変わった。



「光希、短い髪も可愛いよ。めちゃめちゃ可愛い。どうしよ、可愛すぎて困る。本当、どうしよ。困る」
「そんなに困られても……」
「襲いたい」
「……私、すっごい血ぃ出てますよ?」
「わかってるよっ!我慢するよ!俺はずっと我慢してんの!偉いから、俺!」

ふぅふぅと一人で騒ぎながら、それでも光希から離れない善逸。


「……もう。だから、そうならないように、ちゃんと椅子にいたのに」
「だって椅子じゃ抱きしめにくい。くっつきたいの!離れたくないの!贅沢言うの!今は!」
「はいはい」


くっつかれてもあまり嫌じゃなくなったのはいつからだろうか。もっと一緒にいたいと思うようになったのも、いつからだろうか……



「……出発は?」
「明日」
「明日か……身体はもう大丈夫なのか?」
「うん、明後日くらいからまた任務始まると思う」
「そうか……」


「明日か……」と寂しさをにじませながら、善逸がもう一度繰り返した。



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