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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第18章 新たな関係性


夕方になると義勇の鴉が来た。寛三郎は義勇からの手紙をつけていた。寛三郎は手紙の届け先をたまに間違えるので本当に自分宛か不安だったが、ちゃんと合っていた。

手紙には、明日は非番なので身体の調子が良ければ戻ってこい、と書いてあった。
義勇が非番なのは珍しいので、帰宅するには確かに好都合である。

そしてもうひとつ、手紙に書き添えられていたのは――……



そこへ、善逸の気配がする。

光希は手紙を置いて、玄関に走る。大きな怪我もなさそうでホッとした。


「お帰り、善逸。無事でよかった」

玄関で草履を脱ぐ善逸に声をかける。疲れた顔の善逸が「ただいま」と言って振り向き、目を見開く。

光希の髪型の変化に驚いたのだろう、一瞬息をのんだのがわかった。

善逸は、ふっと微笑んで「後で部屋にいく」とだけ言って自室へ向かった。


光希も部屋に戻る。



ベッドに座って義勇からの手紙を読んでいると、「光希、入っていい?」と善逸の声がした。

光希は扉を開け、「お帰り、善逸」と笑顔で部屋に招き入れた。
風呂上がりなのか、髪が濡れている。


お茶を机に置き、光希は椅子に座る。

「ざっくりいったな」

光希の髪を触りながら、隣に座る善逸が言う。

「うん。さっぱりした。男前になったと各方面からご好評をいただいております」
「またお前が女にモテてしまう……」
「すみませんねえ、顔も性格も男前なもんで」


「覚悟決めるための断髪……、か」
「……バレたか」
「むこうに戻るんだな」
「うん」

光希は善逸をしっかり見て答えた。


「こんなことしないとここから出られないんて、我ながら情けないよ」
「まあ、何もせずあっさり出ていかれても、俺としては寂しいけどな」
「善逸も切れば。坊主にしなよ」
「やだよ、こんなに男前なのに」
「え?どこにいるの?男前」

善逸は椅子から立ち上がり、光希のそばに立つ。

「お前の目の前にいるだろうが」

腰を屈めて口付けをして、光希の背中と膝裏に手を入れて横抱きに抱え上げる。


「な、なに?」
「うわー軽っ。本当、飯食えよ……」


善逸は光希を抱いたまま、ベッドに座る。
そのまま光希をぎゅっと抱きしめた。


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