第18章 新たな関係性
「俺は……今までずっと、自分を守ることに必死だった。だから、なめられたくなくて…、絶対に涙を見せちゃ駄目だって、思ってて……」
光希の頬に、一筋の涙が流れる。
「そっか……弱い自分を見せても良かったんだな………」
柔らかな表情で、そう呟いた。
「そうだぞ。俺たちも光希を守ってやれるんだ。弱音だって涙だって受け止めてやる。一人で泣いたりしなくていいんだ。泣きたいときは、泣けばいい」
「やっと気付いたのか。お前、馬鹿だな。我慢ばっかして泣かねえから、腹が痛くなるんだよ」
光希はぽろぽろと涙をこぼす。
一度流れ出した涙は止まることなく次々とあふれていく。
「……ありがと。ありがとな。炭治郎、伊之助」
もう隠さない。
こいつらの前なら大丈夫。そう思えた。
「へへ。やっと、俺たちの前でちゃんと泣いたな」
「おう。意地っ張りな奴だぜ」
二人は泣きながら笑う。ずびっと鼻をすする。
「……お前ら、協力して俺を泣かせにきたな」
光希は泣きながらじろりと睨む。
「俺たちに涙を隠して笑う光希が悪い」
炭治郎が、自分の涙をぐいっと拭いて笑った。
「くそ、やられた……」
悔しそうにする光希。
「……腹立つから、」
光希は腕を広げて、二人がいる所に飛び込んだ。両腕でガシッと二人を掴む。
「お前らの女装姿を、ずっと覚えててやる!」
「「それは忘れろ!」」
「ふふっ。……それと…俺は、お前らのことを、この先もずっと好きでいることにする!……っ、だからっ……、離れるのがすっげぇ寂しいから、……めちゃくちゃ泣いて、お前らの服びしょびしょにしてやる!覚悟しろ!」
「よし。いいぞ、思い切り泣け」
「鼻水つけんなよ」
炭治郎と伊之助は、二人にしがみついたまま泣きじゃくる光希を、しっかりと抱きしめてくれた。
―――同期として、また、友として……