第17章 友が起きるまで 3
翌朝から生理が始まり、光希は布団にうずくまっていた。
「大丈夫かよ……」
善逸が心配顔で背中をさする。
「こればっかは、しょうがないよ。いたたた……」
「……顔色、悪いな」
「うぅ…っ、いったぁ……」
「辛いか?」
息荒く苦しむ光希に、ひたすら戸惑う善逸。
「善逸っ、……私は、大丈夫だから、ちゃんと準備してきて」
「うん…わかった」
善逸は夕方には任務に出発する。
後ろ髪を引かれるように、部屋を出ていく。
善逸が退室したので、昼まで少し眠ることにする。
昼過ぎになり光希が目を開けると、カナヲがいた。
「あ、光希、痛みはどう?」
「カナヲ……」
「水、飲んで。脱水になる」
「ありがとう。……痛っ、ううぅ…」
身体を起こし、ふー…と呼吸をして痛みを逃しながら水を飲む。水分が身体に染み渡っていく。
「善逸が、光希を頼むって」
「……そっか」
「自分じゃ役に立たないからって言ってた」
「そんなこと、ないのに」
「そうだね。でも、男の子はそう思っちゃうのかも」
カナヲは光希の隣に腰掛ける。
「光希は、また水柱様のところに戻るの?」
「うん。生理が終わったら戻るつもり」
「善逸は了承してる?」
「……たぶん」
「ちゃんと話した方がいいよ」
「ありがと、カナヲ。しっかり話すよ」
カナヲはにこっと笑うと、湯呑を持って出ていった。
ここで生理が来たのは、ある意味ありがたいことだった。蝶屋敷に滞在する理由が出来たから。
善逸が今回の任務から帰ってきたら、きちんと話そう。きっと泣かれるし、心苦しいことではあるけれど。
隠れ家のことも、ちゃんと詰めて話をしたい。うやむやのまま離れるのは、お互い不安になるだけだ。
光希は身体を横たえながら、ずきずきと痛むお腹を擦った。