第17章 友が起きるまで 3
「ん……寝ちまってた」
善逸は目を覚ます。
もう夕方になっていた。
左手が重いと思ったら、善逸の腕を枕にしてすうすうと寝息をたてている光希がいた。
添い寝してて、そのまま一緒に寝てしまったのだと思い出す。
見慣れている光希の寝顔。
長いまつげが目元に影を落とす。幼さの残る、なんとも可愛らしい顔だ。
愛しさが込み上げて、思わず口付けをする。
「そろそろ起きろ、光希」
「ん…うぅん……」
珍しく寝起きが悪い。相当疲れてるのか。
とりあえず左腕が痺れてるので、そっと引き抜き、枕と代える。
光希はまた丸まって眠る。
子どものころからずっと、光希は寝るとき必ず丸まって眠る。まるで何かから身を守るかのように。
「ここには、怖いものなんてないのにな」
善逸は光希の髪を撫でる。
光希が任務に出ている間、胸がはりさけるように辛かった。今まではそんなことなかったのに。近くに居ただけに、離れるのが辛い。危険なことをしていると知っているだけに、見送るのが、辛い。
炭治郎が起きた今、光希は遠からず冨岡邸に拠点を移すだろう。
辛い気持ちを押し込めながら、共に居られる刻を想って、善逸は愛しい人の寝顔を見つめていた。