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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第17章 友が起きるまで 3


「ちょっと、二人とも落ち着け」

こんなしょーもない内容でなんでこんな喧嘩になるんだよ、と思いつつ、事の発端は自分なので責任感の強い炭治郎は言葉を発する。


「善逸!お兄ちゃんなんだから、下の子にそんな事言っちゃ駄目だ!」


炭治郎の長男節が炸裂した。


……お兄ちゃん?

それまでぎゃあぎゃあ言い合ってた二人が、ぴたりと黙る。


「兄ちゃんは妹に優しくしなきゃ、な?」


炭治郎が、優しく微笑む。
光希の目が、キラリと光る。


「炭治郎!兄ちゃんが酷いこと言っていじめるよー!!」
「よしよし」

光希は炭治郎に身体を寄せてわざと甘える。
炭治郎は頭を撫でる。
光希はニヤリと悪い顔をして善逸を見た。


……これは、使える!


年下特権に気付いた光希。

兄貴として威張ることが出来なくても、年下として我儘を言うことが出来る。


「よし、じゃあ今後はお前が上でいいよ」

「『でいいよ』じゃねーよ!そもそも俺が上なんだっつーの!そこんとこわかっとけっ!」
「こら、善逸」
「うっ……」

兄貴に厳しい炭治郎。そして妹と名のつく者には激甘である。
光希は笑いが止まらない。


「炭治郎は本当にいい兄ちゃんだなぁ。いつも守ってもらえる禰豆子が羨ましいよ」
「そうか?」
「俺も、善逸より炭治郎が兄ちゃんの方がいいや。喧嘩しなくてすみそう」
「ははは」
「……くそっ」


「あ、そうだ、光希。禰豆子が暴れた時、止めてくれてありがとな」
「ん?ああ、あの時は焦ったよ。本当に良かった、禰豆子が人を傷つけなくて」
「禰豆子さ、寝た後、光希に貰った帯留めずっと握りしめてたんだ」
「そうなのか」
「うん。それもあって落ち着いたんだと思う。ありがとな」
「いやいや。つか、禰豆子可愛すぎだろ」

「俺も光希より禰豆子ちゃんみたいな可愛い妹がよかったよ」
「へいへい、可愛くなくて悪うございましたねー」



「まあまあ」となだめる炭治郎。三人で笑った。


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