第17章 友が起きるまで 3
「へ?そうなの?」
善逸が素っ頓狂な声を上げる。
「そうだよな、光希」
「………」
「……え?…光希?どした?」
「へぇー光希って十五歳だったのか。ふうん。間違いないんだな、炭治郎」
「あ、ああ。堕姫がそう言ってたんだ。鬼は人間の年齢わかるみたいだし……え、えと……」
「………」
「ほほう。なるほどなるほど」
光希から殺気を感じて焦る炭治郎。
対して善逸はやたらと嬉しそうにしている。
炭治郎は知らなかったのだ。
光希と善逸が、子どもの頃からずっと『どっちが兄なのか論争』という極めて不毛な戦いを繰り広げてきたことを。
誕生日がわからない光希。年齢は十六ということになっていたが、どちらが早く生まれてるのかがわからなかった。そんな中、二人とも自分が上だと主張して譲らなかったのだ。
ここに来て、ようやく長きに渡るその戦いに決着がついた訳である。
ちなみに光希は、自分の誕生日をとりあえず善逸と同じ日としている。
「なんか俺、やばいこと言っちゃった?」
訳がわからず焦る炭治郎。
光希はニコリと笑ってようやく口を開いた。
「ううん、ちーっともだよ。炭治郎は記憶力がいいんだなぁ。細かい事をよーく覚えてるんだねーあははは」
……めっちゃめちゃ怒ってんじゃん
炭治郎は冷や汗を垂らす。
「ははは!やっぱり俺が兄貴だったろうが!思い知ったか!俺が、年上だ!ウィッヒヒッ」
「うるせー!笑い方キモいんだよっ!お前は精神年齢七歳で止まってっから、俺の方が上なんだよっ!」
「誰が七歳だっ!お前、年上に対して偉そうなんじゃねえの?」
「はぁーー?」
いきなり二人が喧嘩を始めたので、おろおろする炭治郎。