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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第17章 友が起きるまで 3


日が落ちて夜が来た。
幸い天気がよく、月明かりで周りが見えやすい。
全集中で意識を張り巡らせていると、光希が鬼の気配を捉える。


予想通りだ!

光希は一瞬のうちに木から飛び降りて、山を駆け下りる。枝や草で頬や羽織に傷がつくが、お構いなしに全速力で駆け下りる。




光希が予想した場所で鬼と対峙する義勇。

義勇の後ろに七、八人、鬼の手の中に子どもが一人。
想像以上に守る人間が多い。
どうしたものかと義勇が思った時、鬼の手がバサリと落ちた。

ザザザッという音を立てて、子どもを抱えた光希が隣に滑りこむ。


「きぃちゃん!」
「きい坊!」

義勇の後ろの人達が歓喜の声を上げて子どもを抱きしめる。


「はぁ、はぁ、遅くなりました!」
「よくやった。まだいけるな」
「はぁはぁっ、当然!」


「仲間がいたのか……ちくしょう」

鬼は逃げようとした。

「逃がすかっ!」

光希はすばやく鬼のそばに走り込み、足を切断した。


「ぐっ!」

義勇が首を狙って斬りつけるが、首ははねられまいと硬化した腕で防がれる。


「光希!!いくぞ!」
「はい!」


「「水の呼吸、参ノ型、流流舞い!」」

光希が一番合わせやすい型を二人同時に出す。
義勇の流流舞いが倍ほどの威力になる。

下弦くらいの力があるだろう鬼は義勇の刀で一瞬でズタズタに切られた。



しかし、鬼の身体が崩れていかない。

「?!」

どういうことだ?
いくつか鬼の気配がする。分裂した…?


とするなら狙いは……
嫌な予感がして総毛立つ。


「やめろーーー!!」

光希は固まって震えている人達の方へ地を蹴って走った。


光希が皆を守るように立ちはだかり、地面から出てきた鬼の爪をギリギリのところで弾く。
ガキンッと音が響く。

義勇に外側を切られ、分裂した本体は先程の半分くらいの大きさだったが、力は十分に強かった。
次の一撃を弾くことが出来ずに刀で受けるしかなく、力の弱い光希は「ぐっ……」と声を出す。


「逃げて!早く!」背後にいる人々に声をかける。


負ける訳には行かない。
後ろに人がいるため、引いたり受け流したりできない。


頑張れ、頑張れっ!

自分に言い聞かせて、刀をぐぐっと押し返す。


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