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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第17章 友が起きるまで 3


ただ義勇が心配なのは、別行動となることで光希が負傷するかもしれないということだった。

そばに居れば守ってやれる。しかし、離れた場所で鬼に襲われたら……守りきれるだろうか。


義勇のその心配がわかったのか、

「大丈夫ですよ。俺だってそこそこ強いんで。簡単には死にません。一人で鬼に遭遇しても、人質を守るくらいは出来ます。俺の師匠は凄い強い剣士なんですから!」

と笑った。


「では、その凄い剣士とやらが来るまで、死ぬなよ」
「はい!」



日が傾いてきた。間もなく夕暮れだ。


「寛三郎さん、起きて寛三郎さん」

膝の上の寛三郎を起こす。

「指令カァ……?」と寝ぼける寛三郎を義勇に渡して、地面に描いた絵を足で消す。


光希は山頂へ、義勇は街方向の山の入口へ、それぞれ移動をし始める。
二人とも殺気を胸にしまいこみ、冷静にその場所へ向かう。



山頂に到着した光希は、義勇がいるのと反対側へ鴉を飛ばす。

大きめの木に登り、周りを見渡す。
今夜は絶対に来るはずだ。
殺させない。誰一人として殺させない。そして、自分も死なない!


腕が震えた。
この弱った身体で出来るのか、と不安がよぎる。


―――善逸、力を貸してくれ。必ず帰るから



木の上で、光希は猛禽類のように神経を尖らせた。

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