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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第15章 友が起きるまで


「くそっ」
なかなか捕まえられない光希に、苛つく善逸。

埒が明かねぇ!
そいう思った善逸は、勝負にでる。
ぐっと足に力を込めて、ひゅっと高速移動をする。

消えたっ!
目の前から消える善逸。瞬時に背後に回られたと確信し、上か下の二択になる。

上だ!
と判断し、光希は地面にすれすれに身体を下げる。


「なっ……!」

善逸の手が伏せた光希の頭上で空をきる。
確実に取ったと思った善逸は驚く。


当たり!
全くの勘だったがなんとか躱した光希は低い体勢のまま矢のように走り出す。
善逸が追う。後ろを気にしながら走る光希。
目の前に壁。

「おい、ぶつかるぞっ!壁、壁!!」

慌てて善逸が叫ぶが、お構いなしに走る。
壁の手前で光希は飛び、壁を二歩駆け上がる。ニ歩目で大きく蹴って飛び、善逸を追い越して着地する……はすが、足の力が足りずに、跳びあがれずに落下。

「うわっ、やばっ!」
「お、おい!!!うぎゃぁ!!!」

ただ壁を蹴っただけの人になった光希は、後ろを走ってきていた善逸にモロにぶつかった。
壁を蹴った勢いが付いていただけに、ドシャッという音とともに二人でひっくり返った。

「いててて……善逸、大丈夫か。ごめん失敗した」
「びっ…くりしたわ、いってぇ」

「はぁはぁ、くそう。足に来てて、跳べなかった。はぁ、はぁ、得意な技だったのに」
「怪我ないかよ」
「大丈夫だ。お前が緩和材になったから」


二人はむくりと起き上がる。

「はぁ……想像以上に、体力が落ちてる」
「仕方ねぇよ。再開初日から飛ばしすぎなんだよ」
「くそっ……」

呼吸が荒い光希に比べ、余裕な善逸。文句を言いながらも、ちゃんと鍛錬しているようだ。


座りながら悔しそうに俯く光希を、ふわりと抱きしめる善逸。

「はい、捕まえた」

耳元で囁く。
さっと離れる光希。

「ここではそういうのやめろ」
「なんだよ、さっき俺のこと押し倒しといて」
「あれは不可抗力だ」
「はは。とにかく俺の勝ち、な?」
「うん。悔しいけどお前の圧勝だ。ありがとうございました」
「ありがとうございました」


お互い一礼する。

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