第15章 友が起きるまで
善逸はベッドに向かって歩いて行く。
「別に、いいよ。太もも見たいなら」
「いいって。無理しないで」
「ただし、お前のも見せろよ」
ギシッと音を立てて、ベッドに上がってくる善逸。
「見せ合いっこするってんなら、俺の全部を見せてやるよ」
顔を近付けて、挑発する善逸。
さあ、どうするといった感じた。
「ふぅん……見せ合いっこ…するだけで止まれるなら、やってみたら?」
光希が余裕で切り返す。
善逸が本気じゃないことを見抜いている。
「……っ!……くそっ…」
善逸はそのままバフっとベッドに倒れ込む。
「くっそぉぉぉー!!」
ばたばたと暴れる善逸。なんか負けた気がするのと、煽られるだけ煽られてお預けなのがたまらなく悔しかった。
「あはは、ごめんごめん。煽ったつもりはなかったの。本当に」
光希が笑いかける。
刺激しないよう気をつけながら、暴れる善逸の背中をさする。
「羨ましくて、男の子が。頑張って溜めた筋肉が全部落ちちゃって悲しくて焦ってたの」
自分の腕を見る光希。
顔は笑っているが、悲しい音がする。
「お前は女だから、仕方ない」
「悔しいなぁ」
「また頑張れ」
「うん」
「俺も、頑張るからさ」
善逸が光希の細い腕を握る。
「細っ!」
「言うな」
善逸は腕を引いて抱き寄せる。
「可愛いって、言ってんの!」
善逸の胸の中で「嬉しくないわっ!」と光希が笑った。