第15章 友が起きるまで
善逸は少し不安に思っていた。
鍛錬馬鹿の光希は、時に鍛錬好きすぎて阿呆になる。自分が訓練開始したことで、光希も鍛錬しようとするのでは、と。
「お前、まさかとは思うが……」
「瞑想だけだよ。本当に」
「まだ、駄目だぞ。わかってるな」
「わかってるよ」
「しのぶさんも冨岡さんも言ってただろ」
「わかってるって」
「どうだかなー……」
二人で部屋に戻る。長時間外で石に座っていたから背中がビキッと痛んだ。
光希はベッドに腰掛けて、善逸は椅子に座る。
「焦るのはわかるけどよ、まずは回復しろ」
「うん」
「はぁ、なんでお前はそんなに鍛錬が好きかねぇ。俺は嫌で嫌で仕方ねぇよ」
「今日もきつかった?」
「はぁ……地獄だよ」
「ははは、お疲れさん」
喋りながら善逸は足を組んだ。右足首を左足の膝に置いており、右足のズボンが膝までめくれあがった。
光希の目が善逸のふくらはぎを捉える。
じっと見つめてくる光希に、長年の経験から嫌な予感を覚える善逸。
「な、なんだよ?」
「………」
「ちょ、何見てんの、怖いんだけど」
「………太い」
「な、何が」
光希がすっと立ち上がって善逸に近付く。
「ちょ、なになになに、怖い怖い怖い、」
ただならぬ雰囲気に善逸はビビって足を下ろしてしまった。童顔な少年に似つかわしくない逞しいふくらはぎか、ズボンの中に消える。
光希は善逸の前に座って、彼のズボンをぴらっと捲る。
「ひえっ!な、何だよ!」
「足、見せて」
「はぁ?」
「足の筋肉」
「なんでっ?」
「いっそ下履き脱げ。太ももも見たい」
「はあぁぁ?え、お前どした?大丈夫か?何、ちょっと、え、」
「脱げ。見せろ」
「ちょ、待て!おい!待って!いやぁぁぁ!!」
善逸は意味もわからず脱がされそうになるズボンを死守する。攻防戦の途中で我に返った光希は、善逸に謝って説明をした。