第15章 友が起きるまで
義勇は立ち上がった。そのまま帰ると思ったが、義勇は立ったまま喋る。
今日は奇跡的によく喋る。
「今度、屋敷に来い」
「いいんですか?」
「宣言するならあいつの母親にしろ」
「母親……光希が母ちゃんと呼ぶ女性ですね」
「そうだ。ただ、平手打ちを覚悟しとけ」
義勇は「俺も一度やられている」と言い残して部屋を出ていった。
善逸は追いかけて部屋から出る。
「冨岡さん!ありがとうございました!」
ぺこりと頭を下げる。
返事もなくすたすたと歩いて行く義勇。
俺は耳がいいから、わかる。
やっぱりあの人……少しだけ、本人もおそらく気付いていないくらいの、ほんの少しだけど………
光希のことを想っている…――
「負けない。負けませんからね」
善逸はぐっと拳に力を込めた。