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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第15章 友が起きるまで


義勇は光希に言われた通り、炭治郎と伊之助を見舞った。

部屋に入ると確かに見知った少年が寝ていた。
伊之助の素顔を見るのは初めてだが、特に驚くこともなく、二人の様子をじっと見る。

義勇が二人に声をかけることはなかったが、部屋を出る時に一度止まって振り返り、軽く頭を下げた。


義勇は帰るために玄関へ向かう。
そこに続く廊下を歩いていたが途中で止まる。


「何か用か」

義勇の呟きを聞いた善逸が、廊下から顔を出した。

「あの、少し、話しがしたいです」
「………」
「俺、我妻善逸と申します」
「知っている」
「帰り道に、歩きながらでいいので」
「……その格好でか」
「あ……」

入院着であったことに気付く。
義勇はくるりと向きを変える。

「……?」
「部屋は。………お前の部屋だ」
「あ、ああ、こちらです。ありがとうございます」

想像以上の言葉の少なさに驚く。光希はよくこれで理解しているものだと感心する。
部屋に入り、椅子を薦める。自分は義勇の隣に立つ。

「………」
「………」

柱、怖すぎ。喋れねぇ。
善逸は青ざめる。何を言ってもぶった切られそうな気がする。
それでも、勇気を振り絞って話し始めた。

「とっ、冨岡さん!お、おお俺……」

すんごい勢いでどもった。
カッコわりぃと思ったが、息を吐き、言葉を紡ぐ。

「お、俺は光希と結婚したいと思ってます」
「そうか」
「俺は、貴方には負けません!」
「………」
「貴方みたいに強くないけど、あの子を想う気持ちだけは誰にも負けません」
「勘違いをするな。俺はあいつの事を何とも思ってない」
「わかってます。俺は耳がいいので」
「………」
「宣言したかっただけです。結婚する、と。
光希のために、意識のない新米隊士に頭を下げる貴方には…、貴方だけにはちゃんと言っておかないとと思ったんです」
「……確かに聞いた」
「ありがとうございます」



「光希は……」

義勇も口を開いた。驚く善逸。極めて稀なケースである。

「ギリギリのところで生き残ったと言った」
「はい」
「おそらく、その生死の分かれ道で生に入り込めたのはお前のおかげだろう」
「え……」
「これからもあいつを守れ。全力でだ」
「はい!」


善逸は深く頷いた。


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