第14章 両親
目を覚ました光希は呼吸で回復力を上げ、一週間程でかなり回復した。
一番ダメージの大きい背中の傷もかなり良くなり、身体を起こすことが出来るようになった。
上半身を起こして背中に置かれた布団に持たれている。髪は背中側に回らないように、右横で緩く縛られて前に垂れている。
「夢を見てたの」
光希は善逸に話した。
「父様と母様が、私を迎えにきたの。でも、善逸がうるさくて、戻ってきちゃった」
記憶が戻った光希のその口調に、流石の善逸も驚いた。
父様、母様とくるとは思っていなかった。
光希は、良いところの子だったのだと解る。
「そうか。でもお父さんもお母さんも、迎えにきたわけじゃないだろ。会いに来ただけだ」
「そうね……置いてかれたしね」
「どんな人だった?」
「父様は優しい顔の人で、母様は美人だったよ」
「光希はどんな子だった?」
「自分は見えてないよ。桃色の着物着てた。きっと可愛い子だったよ」
あはは、と笑う光希。
「まあ、絶対可愛かっただろうな。俺が初めてお前と会った時も、可愛かったし。男だと思ったけど」
「ふふ、善逸も可愛かったなぁ。泣いてたけど」
懐かしい思い出話で、二人は笑う。
「思い出せて、良かったな」
「そうだね。善逸のおかげ、らしいよ」
「俺?なんで?」
「うーん……うまく説明出来ない。……でもたぶん、きっとそうなの!」
「??」
善逸はよくわかってない感じだが、光希は強引に話を終わらせる。
「光希の両親…俺も会いたかったな」
「そうだね、会って欲しかったな」
「お父さんに、俺、似てる?」
「ん?なんで?」
「女の子って自分のお父さんみたいな人、好きになるんだろ?」
「そうなの?」
「知らないけど。なあ、どう?似てる?」
「ちっとも似てない。父様、男前だった」
「おいっっっ!失礼な奴だな!知ってっけど!!」
「あはは」
笑うと背中の傷に響き、いたた、と言う。
慌てて善逸が肩をさする。
「お父さんに挨拶しないとな」
「挨拶?」
「……光希を、嫁に貰うときに」
「それは…、父様より先に私に許可を貰うべきでは?」
「許可?要るか?」
「要るよ。許可、出るかなー」
「おい……まじかよ……」