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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第14章 両親


戦いの翌日、善逸は目を覚ました。
気を失う前の事を思い出し、骨折の痛みを忘れるほどに、アオイに詰め寄った。


「光希さん、炭治郎さん、伊之助さんはまだ目を覚ましていません。三人とも、かなりの重症です」

「重症……助かるんだよね?」
「正直、五分五分かと……」


善逸だってかなりの重症だ。そんな患者相手に本当のことは言わないだろう。おそらく生存確率はもっと低いと予想される。

善逸は、布団を握りしめる。

「三人に、会えない?」
「三人とも治療室にいます。面会はできません。それに善逸さんもまだ動いてはいけません」

「寝ててもいいんだ。顔を見たい」
「しかし、貴方歩けませんよ」
「這って、行く。光希がいる部屋だけでも教えて。お願い」
「ですが……」
「炭治郎と伊之助はきっと自分で帰ってくる。でも、あいつは……光希はどこかへ行っちまいそうだったんだ。どこか、俺の手の届かない遠いところへ」
「善逸さん……」
「二人と違って、光希は弱いんだ。俺が近くにいてやらないと…お願い。教えて。じゃないと俺は幽霊の様に屋敷の中を這い回るよ」

アオイは深いため息をつき、「しのぶ様に確認してきます」と部屋を出た。


しばらくすると隠の後藤と一緒に戻ってきたアオイ。

「許可が出ました。短時間だけですよ」

アオイがそう言うと後藤が善逸に背を向ける。

「乗れ」
「へっ?」
「光希ちゃんの部屋まで俺がおぶってってやるの!歩けねぇんだろ、お前。早く乗れよ!」

「あ、ども」と言って善逸は後藤の背に乗る。

よいしょ、と持ち上げられた時に、全身に痛みがはしる。

「善逸さん!」
「……っ、大丈夫。男に背負われたから、拒否反応が出たの」
「下ろすぞ!てめぇ!」

そう言いながら、後藤はゆっくり歩いてくれた。


「こちらです」

アオイが光希の部屋の戸を開ける。
個室のベッドに寝る光希には、点滴が沢山繋がれていた。背中を酷く傷付けているからか、横向きに寝ている。

アオイが椅子をベッドの側に置き、後藤がそこに善逸を下ろす。

目を光希に向けたまま「ありがとうございます……」と彼は呟いた。


アオイは後藤に声をかけ、部屋を出る。

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