第13章 遊郭
「光希、光希、しっかりしろ!」
善逸は両足骨折の重症の中、這いずって光希の所まで来た。
「おい!おいったら!答えろよ、光希!」
背中からの出血を見て青ざめる善逸。
「いてっ……、くっ…おい、聞いてんのかよ、光希。青い顔してんじゃねぇよ……ぐっ…何とか、言えよっ……いっ…!」
善逸も疲労と痛みで、光希の頭を抱え込むように倒れる。意識が飛びそうだ。
「はぁ、はぁ、死ぬな……光希…」
「……るせー…な…、…ぜ…いつ…」
「……光希!……お前が、帰って来るなら、どんだけでもうるさくする…よ」
「………そう、かよ」
「まだ、死ぬには、早いだろ……」
「……寒、い」
「俺が、温めてやるから……死ぬ、な」
「頼む……」
二人はそのまま気を失った。
善逸の手はしっかりと光希を抱きしめており、隠が運ぶときに引き離すのが大変なくらいだった。
まるで、どこにも連れていかせまいと少女を守るように……