第13章 遊郭
そこへ伊之助が飛び込む。「毒は効かねえ!」と言いながら吐血している。
「伊之助!乗せるぞ!
水の呼吸、拾ノ型、生生流天!」
光希は善逸のところから伊之助の隣へ飛び移り、伊之助に合わせて技を出す。伊之助の二刀が猛威を振るう。
善逸と伊之助が光希に強化された刀で堕姫の首を狙う。
光希は伊之助に逆転の呼吸を使った途端、ぐらりと、体勢を崩す。
「善逸!!伊之助!!そのまま振り切れー!!」
叫びながら屋根から落ちる。
受け身も取れず背中から落ち、ガハッと吐く。
だがそれでも立ちあがり、妓夫太郎に向かう。
炭治郎が血鎌を顎に突き刺されるも、それでも諦めずに妓夫太郎の首を狙う。
そんな炭治郎の頑張りに応えるように、光希は髪から簪を引き抜いて、妓夫太郎の背中にありったけの力を込めてぶち込んだ。
「な……なにっ…」
「へへ、毒だよ。ちょいと強めのな。弱っとけこの馬鹿野郎。あとは行けるだろ、三人とも……」
最後の切り札をここで使い、光希は倒れた。
少年三人は持てる力を振り絞り、
「アアアアア!!」
「アアアアアア!!」
「ガア、ア、ア、アア!!」
と叫んで二体の鬼の首を同時に切った。
だが、何かがおかしい。宇髄が何か言っている。
これは……!
妓夫太郎の身体から血鬼術が飛び出す。
宇髄が「逃げろーーーー!!」と叫ぶが、その前に不穏な気配を感じ取った光希が限界を超えた身体で走る。
炭治郎を左腕に抱えて、地を蹴る。
ギャギャギャギャ!!というけたたましい音とともに発動する妓夫太郎の最後の血鬼術。辺り一面がその凄まじい衝撃で吹き飛ばされた。
炭治郎と光希は、折り重なるように倒れて気を失った。