第13章 遊郭
光希が気絶している間は数分であったが、戦況は絶望的なことになっていた。
宇髄は倒れ、少年三人で戦うも堕姫を倒せない。伊之助が背後から妓夫太郎に刺され、炭治郎を庇った善逸は瓦礫の下敷きになった。
「……ゲホッ!ぐぅ…」
咳き込んだことで身体中に痛みが走る。だが、痛みのおかげで目が覚めた。
「……はぁ、はぁ、皆は」
周りを見る。会話が聞こえる。炭治郎と妓夫太郎だ。
「お前全然妹守れてねえじゃねえか!」
光希は身体を起こす。ゲホッと血を吐く。
ゆっくり立ち上がってふらふらと歩く。
「虫けら、ボンクラ、のろまの腑抜け、役立たず」
指を折られた炭治郎が耐えている。
腹を抑えて着物を引きずりながら光希は歩く。ふーっ、ふーっと気が狂いそうになる程の怒りで、呼吸が荒くなる。抑えろ抑えろと心で繰り返す。
―――炭治郎は、諦めてない。絶対に。
善逸も、伊之助も、宇髄さんも。そうだろ?
炭治郎が天を見上げる。
―――まだいけるだろ、炭治郎!!
「俺は…俺は……準備してたんだ」
炭治郎が動いた瞬間光希も飛ぶ。炭治郎が振る刀に合わせて己の刀も振り下ろす。
「光希!!!」
「切れろ!切れろっ!!うおおお!!」
善逸が瓦礫から神速で飛びてて堕姫に向かう。
最後の機会とも取れるこの好機に、絶対首を切ると果敢に狙う。
炭治郎と光希二人で全力を出すが、切れない。血鬼術飛び血鎌でふっとばされる。
「ぐあ……」
「まだだ!諦めるな炭治郎!!」
妓夫太郎の血鎌が炭治郎に迫る中、宇髄がそれを止める。
「光希っ!妹の方切ってこい!そっちが先だっ!」
「……はいっ!」
光希は屋根に飛び「善逸!いくぞ!」と声をかける。
「水の呼吸、弐ノ型、水車!」
善逸の霹靂一閃神速に逆転の呼吸を乗せる。バチバチッと放電され、威力と速度が一気に跳ね上がる。
「お前、傷が深い!動くと死ぬぞ!まだ寝とけ!」
「今寝てる奴に言われたかねぇよ!」
言い合あいながら共に堕姫の首を狙う。恐ろしい程に息が合う。