第13章 遊郭
二階では墮姫の背中から妓夫太郎が出てきて乱戦が始まる。
斬りかかる宇髄が、妓夫太郎の攻撃を浴びた。
瞬間、肌で感じる妓夫太郎の桁違いの強さ。
―――――これが、上弦……とんでもねえ圧だなおい……
光希は震える男女を守る様に刀を構える。呼吸乱さないことに必死だ。落ち着け、落ち着けと繰り返す。
そんな光希をさらに庇うかの様に宇髄が立ちはだかる。
「宇髄さん……」
「大丈夫だ」
宇髄は二階を爆破し、全員が一階へ落ちる。
落ちるときに男女を光希が衝撃から守り「早く逃げろ!」と声をかける。
追い打ちをかけるように妓夫太郎が血鬼述を放つ。
宇髄が捌く中、光希は身を呈して男女を庇う。
「ぐっ!」
右手に衝撃を感じ顔をしかめる。
だが、女を守ろうとしている男に「やるじゃねぇか。格好いいぞ。行け!」と笑いかけ、二人を逃がす。
「光希!やるぞ!」
「はい!」
そう叫ぶと宇髄は火薬玉を二階へぶん投げた。
それでも鬼はけろりとしている。
「まあ……一筋縄にはいかねぇわな」
「無傷ってのは勘弁してくれ……」
そこから宇髄と光希の共闘が始まった。
音は雷からの派生なだけあって、逆転の呼吸を乗せやすい。宇髄の動きに合わせて、火薬玉を避けながら呼吸を使う。
だが、宇髄の動きがおかしい。いつもなら……と光希が思うと、妓夫太郎が汚い笑みを浮かべて言った。
「ひひひっやっぱり毒、効いてんじゃねぇか」
「!!」
「いいや全然効いてないね、踊ってやろうか」
「毒……」
「お前はあいつの鎌に触んなよ。かよわいお前は即死だ」
「解毒剤は……」
「は?いらねぇよ。さっさと片つけんぞ」
「……はい!」
治せるような解毒剤が無いってことか…光希は奥歯を噛みしめる。
「援護します!ド派手にいきましょう!」
「おお!いいな!流石は俺の見込んだ隊士だ!」
火薬玉が炸裂する中で、再び二人は上弦相手に暴れ回る。