• テキストサイズ

雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第13章 遊郭


その瞬間、

「禰豆子!駄目だ!!」

炭治郎が禰豆子の口に鞘を当て、禰豆子を止めた。


「炭治郎!」

そのまま炭治郎と禰豆子は後ろにひっくり返る。
光希より力のある炭治郎。足で身体を抑え込み、何とか抑えようと説得しながら奮闘する。


「逃げてください!早くっ!!出来るだけ遠くへ!」

光希はその間、人に声をかける。
店の者や客は震えていたが、逃げようとし始めた。
腰を抜かしている男には「何してんだ!早く走れよっ!」と叱りつけている。

禰豆子は炭治郎でも抑えられずに、どんどん凶暴性を増している。

暴れる禰豆子は炭治郎ごと跳ね上がり、天井をぶち破って二階へ行く。


「!!」

光希もすぐ後を追う。

二階にはまだ人が居た。そこへ墮姫も戻って来る。禰豆子はまだまだ大暴れ。控えめに言っても大ピンチだ。


「ふぅ……炭治郎、禰豆子を離すなよ。しっかり抱いてろ!お兄ちゃんなんだからな!!!」

光希はギリッと刀を構える。
禰豆子は炭治郎に任せて、堕姫と一人で戦う覚悟をした。

「あら、アンタもう戻ってきたの?」
「まあな」
「そのまま逃げればよかったのに」
「道、間違えたんだ」

「生意気な娘。その綺麗な顔をぐちゃぐちゃにしてやりたいわ。死になさい!」

墮姫が技を出す。
来る!と思ったが、来たのは一陣の風だった。


「竈門禰豆子じゃねーか。派手に鬼化が進んでやがる」

ぎょっとする炭治郎。
ガクッと片膝をついた光希が、少しホッとした顔で話しかける。目は鬼から離さない。

「遅くないですか……?」
「悪い悪い。よく頑張ったな」
「まだ終わってない……」

宇髄は光希の頭をポンポンと撫でる。

「おい、光希の言うとおりだ。まだ終わってねぇぞ。妹をどうにかしろ」

宇髄が「地味に子守唄でも歌ってやれ」と言うと、炭治郎は暴れる禰豆子と共に二階から落ちた。


炭治郎は、背中から落ち、ゲホッとむせる。
暴れる禰豆子に手こずり、助けを求めたのは亡き母。そして宇髄の『地味に子守唄でも歌ってやれ』と光希の『お兄ちゃんなんだからな』の言葉が頭に響く。


「こんこん小山の……」

炭治郎のちょっぴり音の外れた子守唄。

それは禰豆子の琴線に触れたようで、ひと泣きしたあとに幼子のように眠った。

/ 1083ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp