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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第13章 遊郭


宇髄は切見世で、雛鶴に解毒薬を飲ませて介抱していた。

「天元様、よくここが……」
「喋るな。光希が聞き出してくれた」
「光希ちゃんが……」
「ああ、元気になって礼を言え。お前の口から、必ずだ」
「はい……」

宇髄は雛鶴をぎゅっと抱きしめると店を出た。


―――戦闘が始まったか


音に反応して光希も宿屋から飛び出した。刀は手に取ったが、着物のまま走る。走りづらさに顔を顰める。

とにかく、一番近いときと屋に向かう。

宇髄は「上弦の可能性がある」と言った。
心臓が恐怖の音をたてる。本当に上弦なら、全員生き残るのは難しいだろう。
でも、絶対に誰も死なせない!死なせたくない!

道行く人が驚く中、光希はまっしぐらに店まで走った。


炭治郎は上弦の陸、堕姫と対峙していた。
上弦の強さに怯みはしたものの、立て直し、なんとか戦い続けている。

だが、堕姫の帯を何度か弾いただけで刃こぼれした刀に、自分の弱さを痛感する。

また攻撃がくる――そう思ったとき、目の前に花柄の羽織が飛び込んできた。
少女は迫りくる堕姫の帯を弾き返す。正確で鋭い太刀筋。

そして「ぬあー!動きづれぇ!」と叫び、羽織を脱ぎ捨てた。

「光希!」
「炭治郎!怪我ないか!」
「ああ!」
「共闘だ!行くぞ!」
「おお!!」

炭治郎の心に、闘志が再び舞い戻った。

がっと足を開いて構えを取る光希。
隣でぎょっとする炭治郎。

「お、おい光希!足!足!」
「は?ちゃんと履いてるっ!」

薄手の黒いズボンを見せて安心させる。
戦闘中にどこ気にしてんだよ!とツッコミを入れる。


「何、アンタも鬼殺隊?ふぅん」
「そうだ」
「へぇ、こんなに可愛い娘もいるのね。こりゃ食べなきゃね。ふふふ、美味しそう」
「そうかい、光栄だな」
「でも、十五歳……か。まだ子どもね。食べ頃はもう少し先かしら」
「俺、十五だったのか……」

「まあいいわ。とりあえず動けないようにしてから食べてあげる」


帯が高速で向かってくる。
よく見ながら、炭治郎と二人で弾き返してく。
どちらかというと光希狙いなので、より多くの帯を捌く光希。

隙を作れ、隙をっ!
二人は上弦に必死で、食らいついていく。

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