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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第12章 逢瀬


街中を他愛もない話をしながら手を繋いで歩く。

「あれ、善逸、背伸びた?」
「そうかな」
「なんかそんな気がする」

言われてみれば光希の薄紫色の羽織が、今までより低い位置にある気がする。

「光希が縮んだんじゃねぇの?」
「縮まねぇわ!…っと、縮みません!」

会話の中でちょこちょこいつもの言葉が出てしまう光希。指摘してないのに、自分ですぐに訂正する姿も可愛い。
頑張ろうとしてくれてるのがわかって愛しさが込み上げる。


「さて、これからどうしよっか。私の目的は完了したし、善逸、どこか行きたい場所ある?」
「んー…お昼時だけど、まだお腹空いてないからな。特にないかな……」
「じゃあもう帰る?」
「えっ……」
「あはは、嘘だよ。流石にまだ帰りたくなってないよ今日は。大丈夫」

善逸は少し焦るが、前回をネタにからかわれただけどわかって安心する。
そして、少しやり返してやりたくなった。


「……じゃあさ、人の居ないところで二人っきりになりたいな」

善逸は光希の耳元でそう囁く。
ほんのり光希の耳が赤く染まる。善逸は光希の手を引いて、林の中に入っていく。

しかし善逸の威勢が良かったのもここまで。林の中はイチャつく恋人たちでいっぱいだった。大人たちがそこかしこで口付けを交わし、愛を囁きあっている。

付き合いたての少年少女は固まる。
さらに人の居ないところを探してうろうろしながら奥にいくと、それこそ行為真っ最中の男女がいたりして、冷や汗をかく。


街は凄えな……まだ昼なのに……
二人はそそくさと林を出た。刺激の強さに目眩がする。

椅子に腰掛けて、ふーっと息を吐く。
なんか疲れた。心の方が疲弊した感じがする。

二人は切り替えて、椅子に座りながら他愛もない話をする。背中の刀はこっそり椅子の下に隠し、楽な姿勢でいつも通り話す。
だが、善逸の心はざわつき、話しながらどうしても光希の唇に目がいってしまうのを感じた。先程の強すぎる刺激を、光希の様に消化できないでいた。


お昼が過ぎ、おやつ時に差し掛かる頃、二人は遅めのお昼ごはんにした。

二人でうどんをすする。光希は善逸が好きなうなぎを食べようと言ったが、今の状況で精力をつけたらやばいことになると感じた善逸がうどん屋に決めた。

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