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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第80章 輝く未来


光希は出産後、体力がなくなった。
授乳していることもあるのだろうが、生命力そのものがガクンと落ちたように見える。

彼女はもう走らない。
飛んだり跳ねたりしない。
喧嘩のときに回し蹴りをしてくることもなくなった。

この世界を元気に駆け回っていた光希は、もう居ない。


一般的な女子と同等になったといえばそうなのかもしれない。しかし、元が動けただけに、今の状態が辛いだろうなと善逸は思う。
それでも彼女は毎日笑って過ごしている。周りに心配をかけないように。

善逸は眠る光希の前髪をさらりと払い、額にそっと口付けを落とす。


「前みたいなお前じゃなくなっても、お前の光は消えないよ」


走れなくなっても。
戦えなくなっても。
光希が弱くなったわけじゃない。

彼女が彼女である限り、その眩い光は決して力を失わない。
皆を導く希望の光。
温かい、優しい、美しい光だ。


「俺がお前の光を守るから」


善逸は小さな声で歌う。
二人の愛の歌を。

光希は安心しきったように眠る。
口元にうっすらと笑みを浮かべて。



 二人で繋いだ『これまで』を
 『これから』に変えて

 俺だけの女神に
 今溢れ出す 煌めく愛の祝福を―――




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