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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第80章 輝く未来


数年が経った。

『学び舎 藤袴』は今や誰もが知る学問所となり、校舎を三カ所に増やして経営を展開し始めた。光希の考え方を踏襲している優秀な卒業生たちが講師をし、クオリティをしっかりと保ちつつ沢山の子どもたちに楽しく教えている。

この藤袴ブームの火付け人になったのは、如月光太郎。帝国大学に通う彼は、新進気鋭の天才美形大学生として巷で騒がれていた。その彼が「自分の思考の根幹は全て『藤袴』で学んだ」と発言したことがきっかけだった。これは光希が昔、笑いながら光太郎に授けた策である。

おかげで我妻家はお金持ち。
だからといって彼らは贅沢をするのではなく、今まで通りに暮らしていた。


「もう、離れてよ!善治っ!」
「姉ちゃーん、あそぼーよぉ」
「駄目だってば!お姉ちゃんは学校なのっ!」
「よしくんもいく」
「遅刻するでしょ!もー!お父さーん!」
「いっちゃやだー!」

善治を半ば引きずりながら歩き、玄関で叫ぶ我妻あかり。呆れ顔の善逸が玄関に来て、善治をべりっと剥がしてひょいと抱き上げる。

「ふぅ…、お父さん、行ってきます」
「ああ。いってらっしゃい」
「ぎゃぁぁおぉーん!姉ちゃぁーん!!」
「もう、毎朝毎朝うるさいっつの!!」

怒りながら玄関を走り出ていくあかり。

見事に気の強いあかりと、見事に泣き虫な善治。どこかで見たような懐かしい光景だ。


「うえぇん……姉ちゃぁん……」
「お前な、今生の別れじゃあるまいし」
「うわぁぁん」
「はぁ……。善治、炭佑のところ行くか」
「え?すみくんのとこ?いく!ねずちゃんいるかなぁ?うふふふ」
「……お前、女好きが過ぎるぞ」
「ちょーやしきでもいいよ!」
「へいへい」

二人は光希の部屋に行く。
光希は寝間着のまま文机に向かっていた。

「光希、ちゃんと寝てないと。仕事?」
「ん。大丈夫。今日は調子いいの」
「母ちゃん、すみくんのとこいってくる!」
「いいね、遊んでおいで」

嬉しそうに玄関へ駆けていく善治。

「じゃ、行ってくる。無理すんなよ」
「いってらっしゃい。皆によろしくね」

善逸は光希の隣に座り、優しく口付ける。
口を離すと、二人で緩やかに微笑み合った。




我妻家は、今日も幸せの音を奏でている。





【雷鳴に耳を傾けて・終】

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