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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第80章 輝く未来


「なあ、その輝く未来の中に、お前も居るよな?」
「居るよー」
「本当?」
「本当」
「……少し、嘘の音がする」
「はぁ……、全くもってやっかいだね、善逸さんの耳は。聞かんでよろしい」
「聞こえちまうの」
「なら、しっかりと塞いでおかないとね」

「うん。塞いでくれ、光希のその両手で。……ずっと」

善逸は光希の肩に置いた手に力を込めた。
授乳が終わり、乳首から口を離す善治。胸をしまって善治を抱き直すと、善治ごと大きな腕で後ろから抱きしめられた。

「感謝」
「ん?何に?」
「俺が今、光希にこうしていられることに、感謝してるの」
「……うん。そうだね」

心地良い善逸の温もりに包まれて、光希が笑う。

「善治、そろそろ光希のおっぱい俺に返せよ」
「何言ってんの。まだまだ一年くらいはこの子のものです」
「うっそ!長っ!無理無理!泣いちゃうよ俺」
「我慢せい!この助平親父」

善逸は文句を言いながら善治を抱き上げて、トントンと背中を叩く。
今度は光希が善逸の肩にそっと頭を寄せる。

「……善逸さん」
「ん?」
「眠い……」
「あら」

光希の目がトロンとしてくる。
妊娠中もそうだったが、出産後、光希はよく寝るようになった。

「義勇さんとあかりが帰ってくるまで、少し寝るか」
「ん……、善治任せるね」
「うん」

光希は部屋の隅で、ころんと丸まる。すぐに寝息が聞こえ始めた。

善逸は子ども用の布団を光希の隣に敷いて善治を寝かせると、光希にも布をかけてやる。
二人の間に座り、右手を善治、左手を光希に添えて、子守唄を歌いながら優しく撫でていく。

手から伝わる体温と幸せに、善逸は目を細めた。


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