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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第80章 輝く未来


義勇はため息を一つつくと、スッと立ち上がった。

「あかり、買い物に行くぞ。ついてこい」
「はいっ!ぎゆしゃんとおでかけ!」

あかりも喜んで義勇にしがみつく。

「光希は」
「きなこで!」
「善逸は、あんこか」
「あ、はい、お願いします」
「あかりは団子は何にする」
「んーとね、あかりもあんこ!」

「義勇さん、善治も貸しましょうか?」
「いらん」
「あはは」

善逸から善治を受け取った光希が笑う。
義勇は善逸に向かって手を出した。

「ん」
「え?何ですか?」
「お前の奢りなのだろう?」
「あ、え?」
「金」
「あ、はい。って……なんで俺が?」

首を傾げながら善逸は自分のお小遣い財布から適当に金を出して渡す。
義勇とあかりは連れ立って外へ出ていった。

「え、つまり……お茶屋の店員さんが、義勇さんの想い人ってこと?」
「珍しく気付いたのね」
「へぇ、びっくりした」
「そう?さて、今のうちに授乳しよ。善治ー、ご飯だよー」

部屋の隅に行って授乳する光希。

「……二十五歳を超えたから、か?」
「そうだね」
「そっか」
「実弥さんも、うまくいってるみたいだし」
「そうなの?……なんでわかるんだ」
「雰囲気」
「……そうっすか」

善逸は改めて彼女の洞察力に感嘆する。

「たぶん、二人共この二十五歳を待ってた。どうなるかわからないのに、一歩進み出すことは出来ないから」
「なるほどな」
「相手を置いていくのは……辛いからね」
「……そう、だね」

「この先どうなるかはわからないけど、これは一つの希望だ。この先に繋がる……輝く未来への希望」

光希は腕の中の善治を見つめながら言う。
善逸は音もなく光希に近付き、彼女の肩口から頬に口付けをした。

「ひゃっ!ちょっと!おっぱいの時は来ないでって言ってるでしょ」
「だって、なんか、したくなったんだもん」
「もうっ!なにそれ。理由になってない」

善逸は授乳の邪魔をしないように、光希の両肩に手を添えて彼女の背中に身体を寄せた。

善逸の体温が、背中を通して光希に伝わってきた。
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