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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第80章 輝く未来


義勇は文机から目打ちを取り出し、折り紙の花に小さな穴を空けた。そこに細い紐を通して吊るせるようにして壁にピンで刺した。

「あら、飾ってくれるんですか?」
「ああ。いつでも見られるようにな」
「良かったねえ、あかり」
「うん!」

壁に飾られた花を皆で見つめた。

「子どもは、いいものだな」
「ん?」
「昔は苦手だったが」
「……なるほど」

にやりと笑う光希。

「とりあえず二十五歳の壁を超えたのだから、もう一つの壁も超えてみたらどうですか?」
「……なんのことだ」
「またまた。私の目は誤魔化せませんよ。なんなら今から皆で行きましょうか」
「………行かない」
「意地っ張り」

なんの事かわからない善逸は首を傾げる。

「あかり、お団子食べたい?食べに行こうか」
「たべる!」
「ほら義勇さん、お茶屋さんに行きましょ」
「……大人数で行ったら迷惑だろう」

光希はあかりに耳打ちをする。
あかりは頷いて義勇に駆け寄った。

「きょうは、ぎゆしゃんのおたんじょうび。お父しゃんがおごるから、あかりといっしょにおだんごかいにいこ?ね?」
「え?俺が団子を奢るの?なんでそうなった?」

義勇の手を取るあかりと、目を丸くする善逸。

「義勇さんがあかりを連れてお店に行けば、おそらくお相手さんは驚きます。妻帯者だったのかと勘違いすることでしょう。そこで、この子は姪であると説明し、会話の糸口を掴みましょう」
「………お前、何を」
「どうせ口下手な義勇さんのことだから、いつも挨拶程度でお話とか出来てないんでしょ」
「……余計な世話だ」
「それに、あかりが義勇さんの誕生日だとお相手に告げればそこからまた話が広がる」
「…………」
「子ども好きの男性は、総じて女性からの評価も高い。あかりを連れて行くことは大きな利点がある」
「…………」
「名案だと思います。いかがでしょうか」

にこりと笑う光希。

「まずお相手を獲得しなければ、子どもは手に入りませんよ?例外もありますが、通常ならばそうです」
「…………」
「大丈夫ですよ、二十五歳を超えたんです」
「…………」
「それでずっと足踏みしてたんでしょ?」
「……それだけじゃない」
「あの方も、義勇さんの幸せを願っていますよ」

目を逸らした義勇に、光希は優しく声をかけた。
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