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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第80章 輝く未来


「………嫁?……あかりが?……竈門になるだと……」

ブツブツと呟きながら考え込んでしまう善逸。

「善逸さーん。あかりはまだみっつですよー」
「駄目だ……、俺もう泣きそう」
「早いよ」

光希は笑いながら空を見る。

善治の成長した姿。
あかりの結婚式。
そんなものを見られる日は、きっと来ないだろう。

でも……
それでも、私は………

「あかりは、あかりの思ったとおりに生きればいい」
「お母しゃん……?」
「楽しいこといっぱいして、大好きな人を見つけて、幸せになるんだよ」
「うん」
「あかりと善治の幸せが、私の幸せ!」

あかりの手をぎゅっと握る。

今回、善治郎たちが迎えに来た。おそらくもう寿命は尽きたのだ。
だからこそ、今生きていられる奇跡に感謝して、この一瞬を大切にしよう。
そしてこの命が尽きても、きっと幸せは残していける。そう信じて。

「……俺の幸せは?」
「あはは、勿論善逸さんの幸せも私の幸せだよ」
「ついで感があるな」
「出た!卑屈精神」

「俺の幸せはお前がいなきゃ成り立たねえぞ」

音で何かを感じ取ったのか、善逸が少し不安そうに光希を見る。

「わかってるよーん」
「わかってねぇだろ!」
「さて、どうでしょう」
「またそうやって誤魔化す」

善逸は呆れたようにため息をついた。

「あかりとよしくんがしあわせになれば、お母しゃんうれしいの?」
「そうだよ」
「どうやったらしあわせになれるの?」
「そうだね……、努力は必要」
「どりょく」
「頑張ることね」
「うん」

「頑張ったら、きっと報われるから」

あかりに話す光希の声が、善逸の心に響く。

「どんなときも諦めないで頑張るの。そうやって頑張って乗り越えたらね、少しだけ自分に自信が持てるようになる。そしたらね、自分のこと…好きになれる。自分を好きになって、人を好きになったら、幸せがついてくる。私はそう思うよ」
「むずかしい……」
「ふふ、大丈夫。あかりにもちゃんとわかるときが来る」


聞きながら、善逸は涙が出そうだった。


俺は俺のことを……少しは好きになれたのかなぁ……俺の努力は報われたのかな……


『今の幸せが、その証拠だよ』

そんなことを光希に言われた気がした。
横を歩く愛しい人を盗み見ると、彼女は穏やかな顔で笑っていた。


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