第80章 輝く未来
「……ふ、ふふふ…、何この服」
「母さんが……」
「もう、これ、ちび善逸じゃん」
「そっくりだって皆言うよ」
光希が泣きながら笑う。
笑うと腹がズキズキと痛むが、涙も笑いも止まらない。
「可愛いー……」
「俺に似てるから、余計に愛しいだろ」
「そう、かもね」
「かもね、かよ」
「ふふふ。本当に可愛い」
「でも泣き声は怪獣だよ。大変なの」
善逸も笑う。
光希の頭を優しく撫でる。
「光希、頑張ってくれてありがとうな。あと、ちゃんと戻ってきてくれてありがとう」
「約束したからね」
「うん」
「私の方こそ、ありがとう。沢山心配かけたね。私が寝てる間、善治を守ってくれてありがとう」
「どういたしまして。ちょっとめげそうなくらいにきつかったけどな。竈門兄妹や母さんたちが助けてくれたんだ。あかりも炭治郎のところで生活してる」
「そうだったんだ……寂しい思い、させちゃったな」
光希の目がとろんとしてくる。
「とりあえず、今は眠って回復して、光希」
「はい」
「……まあ、すぐにこの怪獣さんが起こしてくれると思うけど」
「え?」
「朝鳥ならぬ、朝怪獣だから。しかも昼夜問わずだからね」
「あはは、善逸も今のうちに寝てね」
「うん」
善逸は善治をそっと抱き上げて彼のベッドに寝かせた。優しい微笑みを善治に向ける。
そんな善逸を見ながら光希は眠りについた。
善逸は静かに病室を出て、看護師に報告をしに行く。医者や看護師が病室に来て血圧測定や採血をしていたが、光希はぐっすりと寝ていた。