第12章 逢瀬
久しぶりに会いたい
そんな手紙を恋人(仮)から受け取った善逸は舞い上がった。
光希は日にちと場所を指定し、もし任務がなかったら来てね、都合が悪いとか負傷中とかだったら教えてください、と書いてあった。
善逸は光希の鴉に「大丈夫だよ、例え任務があっても行くからって伝えてくれ!」とニコニコで光希への伝言を頼む。
「いや、任務が入ったら任務行けよ!」と鴉は言い残し、光希の所へ戻った。
伝言を受け取った光希も苦笑いだ。
お互い、いつ指令がくるかわからないが、会える日を楽しみにして過ごした。
なんと言っても、二人の初めての逢瀬である。
行李から普段着の着物を取り出す。
が、光希は近隣住民から男だと思われている。女の格好で屋敷から出て歩けない。
昼間とはいえ、日輪刀をもたずに歩くのは怖い。
背中に隠すにしても女の格好では隠しにくく、何らかの形で戦闘になった場合とても戦いにくい。
しばらく悩んだが、女物の着物を行李にしまう。
代わりに化粧道具を出す。屋敷から離れたら、少しくらいは化粧をしよう。
善逸は喜んでくれるだろうか……
そんなことを考えると自分でも驚くほどに胸が高鳴った。約束の日に、指令が来ないことを切に願う。