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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第80章 輝く未来


……あれ、息ってどうやってするんだっけ


ふとそんなことを思うくらい、善逸の呼吸が止まった。光希の開かれた目は、おぼろげにゆっくりと左右に動く。


そんな彼女の様子を、善逸は声も発することなく、目を見開いたまま停止して見つめていた。


「……あ…れ……?俺……」

光希が小さく声を出したので、善逸ははっとする。彼の全器官がようやく機能を取り戻した。


「……っ、光希!!光希っ!!」

善逸は光希に駆け寄る。

「……あれ?……ぜん…つ……、え……」
「光希、よかった!よかったぁぁぁ!!」
「なん…で……」
「なんでもくそもあるか!お前、ずっと寝ちまってたから」
「………ちが……、どこ、に……まだ……」

話が噛み合わない二人。
現状把握が出来ていない光希は、目線を彷徨わせて何かを探している。
善逸は光希の手を握って話しかける。

「違う?まだ?……なんのことだ?大丈夫か、光希」
「………ゆめ、か…?」
「ん?」
「懐かしい、夢を…見てて……」

光希の目が、まばたきをしながら閉じていく。

「鴉くんと…チュン太郎が……来てて……」
「おい!寝るな!」
「……ほら、目ぇ閉じると…やっぱりいる……ははは。どこにいたんだよ……」
「駄目だ!そっちに行くな!」

善逸は光希の手を強く握る。
光希は口元に笑みを浮かべたままなにもない所にゆっくりと手を伸ばすと、またすうっと眠ってしまった。

「おい!おいっ!嫌だ!嫌だよ!!」

……そんなはずない!チュン太郎達が光希を連れてっちまうなんて、そんなことするはずない!どっちも光希のことが大好きだった。そんな……そんなことは、絶対にない!!!


善逸は「光希!光希!」と彼女の名前を呼び続ける。

そう。チュン太郎も善治郎も光希が大好きだった。だからこそ、彼らが迎えにきたんだとしてもおかしくない。そんな考えも頭によぎる。

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