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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第80章 輝く未来


一月三日。
我妻家長男、善治(よしはる)が誕生した。

家族全員の誕生日が見事に三日で揃った我妻家。どうでもいいといえばどうでもいいことなのだが、小さな奇跡だ。


そして、危険な状態で善治をこの世に送り出した光希は、出産のダメージで瀕死となった。
一週間が経過したが、栄養点滴を受けながら眠っている。


「約束、したよな?」

ベッドの脇に手を付いた善逸が、今日も光希に呼びかける。

「戻ってくるよな?」

今まで善逸が何度も経験したこのパターン。
大きな戦いの後に何度も何度も。嫌になるほどくらっている。

「お前、まだ善治見てねえだろ。見たらお前絶対爆笑すっから。こんなに似るか?ってくらい、俺に似てんの」

毎回、もう二度と味わいたくないと心から思うこの感覚。

「なあ、ちょっと起きて見てみろよ」

一人にしないで
早く起きて
死なないで

「なあ……」

善逸が目を伏せる。
彼の目には大きなクマが出来ていた。ここ一週間ほとんど寝ていない。平和な世界になって増えてきていた体重もストンと落ちた。
つきっきりで光希の看病をしているのと、もう一つ……

「ふぎゃぁー!ふぎゃぁっ、ふぎゃっ!」
「……おお、オハヨウ、我が息子よ。短いお眠りで」
「ふぎゃぁぁぁーー!!」
「はいはい。流石、やかましさは俺譲りよね」

善逸はのそりと立ち上がり、隣に置かれたベビーベッドに行って泣き叫ぶ善治の頬をふにふにとつつく。

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