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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第78章 【続編】幸せの続き


あかりと光希の間に血縁関係はない。なのに、こうも似ているのは何故だ。
容姿も興味関心も驚くほどにそっくりだ。

善逸は、光希が以前宇髄に言われたと語ったことを思い出す。


『縁っつーのは切れないらしいからな。生まれ損なったお前の弟妹も、きっとどこかでお前と繋がってる。ちゃんと会えるさ』


……それが、あかりなのか


だとするならば、彼女たちがここまで似ているのも納得できる。


……もしそうだとするならば

失った妹が再び己の側で生きてくれていると思ったら、彼女のせめてもの救いになるだろうか
自分が殺してしまったと責めることがなくなって、心が軽くなるだろうか……


「……なんてな」

ぼそっと善逸が呟く。


「ん?どうかした?善逸さん」
「いや、なんでもない」
「変なの」

光希がお腹を擦りながら笑う。



全部が『縁』で繋がってんなら
俺と光希も深い縁で繋がってんだな

もしも前世があるなら、俺たちはどんな関係だったんだろう

兄妹?親子?主従関係?
殿と馬、とかだったりして

ありがたいことに、現世は夫婦

願わくは
来世も愛する人であって欲しい……


善逸はそんなことを考えながら光希の腹にそっと手を添えた。


「あ、動いた!」
「お。善逸さんが触ったら蹴り入れてきたね」
「そっち?喜んでんじゃねえの?おいおい、もう反抗期かよ」
「最近胎動が痛いくらいなんだよね。水の呼吸使いすぎ」
「え、こいつ水の剣士なの?」
「今は羊水の中だからね」
「じゃあ皆最初は水の呼吸だったってことか」
「水の呼吸は基本だから」

「ならば、生まれたら俺が立派な水柱に育ててやる」
「いや待てェ、俺が鍛えて風柱にしてやんよォ」
「いえいえ、やはりここは俺の雷の呼吸で」
「左利きなら逆転の呼吸は必須」

皆が笑いながら話すと、またお腹がポコッと動く。


……この子と俺たちも、しっかり『縁』は繋がってる


「元気に生まれてこいよ」

善逸が優しく話しかけるが、今度はしーんとして動かないお腹。

「え。おい、ここは楽しげに動くところだろ。キャッキャしろよ」
「反抗期だから」
「…………」


父親としての威厳が迷子になっている。
そう感じた善逸だった。

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