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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第78章 【続編】幸せの続き


食べ終わると善逸が片付ける。
あかりは再び積み木を出し、お城の続きを作り始めた。
光希は机によりかかりながら、にこにことそれを見ていた。


洗い物が終わった善逸がお茶を光希の前にコトリと置いた。

「水分取れ」
「ありがとう」

光希はゆっくり温かいお茶を口に入れる。

「大丈夫か」
「……ふぅ。うん。お粥を消化するまでなんとか吐かないように耐えるよ」
「頑張れ」

善逸は光希の隣に座り、頭を撫でる。

「明日も休んでいいって」
「そっか……大丈夫かな」
「気にするなって、光太郎くんが」
「あ、光太に会ったんだ」
「うん」

「こうちゃん!おとこまえ!」
「なっ、あかり!父さんの方が男前だ!」
「ううん、こうちゃん」
「え!嘘でしょ、父さん泣くよ!」
「あははは」

光希が笑う。
その横顔を見ながら、痩せたなと思う。

「善逸さん」
「ん?」
「光太に会って、どう思った?」
「どうって……」

善逸は首をひねる。あかりの言うとおり美少年だとは思ったが。

「あの子の名前、聞いた?」
「光太郎、だろ?」
「……あの子、如月光太郎っていうの」

瞬間、善逸が息を飲む。

「如月……」
「偶然かもしれないけど……『光』も入ってるのが気になってね」
「光太郎のコウは光か……」
「うん」

彼に会ったとき、感じたこと。
誰かに似ている。それが誰なのかようやくわかった。

「あの子、……お前にどこか似てる」
「やっぱり、そう思った?」
「口調も顔立ちも違うけど……雰囲気が似てる気がした」
「村田さんも竹内さんもそう言うの。私は自分じゃよくわからない」

光希は悲しげな顔で俯く。
平安時代、鬼を生み出してしまった如月家。例の医者の直系の者達は苗字を変えるなどして隠れたが、もしかすると分家の一族なのかもしれない。

「光太、医者志望なの」
「あれま」
「少し、不安でしょ」
「繰り返すかもしれないってこと?」
「………………うん」

光希の顔が曇った。
彼女は自分の一族を恥じ、呪われていると思っている。


しばし黙り込む善逸と光希。


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