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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第78章 【続編】幸せの続き


「あはは、あかり。お片付けはね、怒られるからするんじゃないよ」
「え?」
「あかりは積み木好きでしょ?」
「うん」
「お片付けしないと無くしちゃうかも。無くなっちゃったらもう遊べなくなっちゃう。おもちゃは大切なの。だから、ちゃんとお片付けするんだよ。あかり自身のためにね」
「あかりのため?」
「そう。全ての行動を自発的に行うんだよ」
「……わかんない」
「大丈夫、ちゃんとわかってるよ。あかりは」

光希は片付け終わったあかりの頭を撫でる。

「あかりはまだふたつですよー、光希先生」
「あはは」
「自発的って。わかるわけねぇだろ」
「わかるわかる。あかり頭いいから」
「確かにあかりは頭がいいと思う」
「むっつくらいになれば善逸さん抜くよ」
「おいおい」
「私は相手に合わせてレベルを下げて講義はしない。相手がここまで上がってこられるように導くだけ」
「厳しいねぇ」

あかりは善逸の隣で小さな皿の前に座る。光希は二人の向かい側。お椀にお粥が入っている。

「いただきます」

三人で手を合わせて食べ始める。

「お父しゃん、おいしい。ありがとう」
「うん。どういたしまして」
「善逸さん、ありがとう」
「いえいえ」

作ってくれた人にお礼を言う。我妻家では当たり前のことだ。食欲のない光希はなかなか匙が進まないが、楽しい一家団欒の時間だ。

箸の使えないあかりも匙で食べる。
食べこぼしも多いが、善逸も光希も極力手伝わない。あかりが自分で頑張って食べる。
添えられたりんごは手で掴みにいくが、二人は何も言わない。


「お母しゃんがおうちにいて、うれしい」
「そうだね。いつもはいないもんね」
「ふふふ」

あかりが頬を染めて、心底嬉しそうな笑顔をみせる。寂しい思いをさせているかな、と胸がチクリと痛む。

「母さんはいつも俺たちのために頑張ってくれてるもんな。感謝だな、あかり」
「うん、ありがとう、お母しゃん」

音で光希の不安を感じ取ったのか、善逸がフォローを入れる。

「こちらこそ、ありがとう」

光希は二人に向けて、緩やかに笑顔を見せた。


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