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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第78章 【続編】幸せの続き


「お父しゃん……?」
「え、」
「どこかいたいの?」

あかりが心配そうに善逸を見つめていた。
善逸ははっとする。子どもに気を遣わせてはいけない。母親の不調を一番不安に思うのは子どもだ。

「痛くないよ。大丈夫」
「うん」

落ち着かせるようにあかりの頭を優しく撫でる。

「あかり、お腹空いた?」
「すいた」
「何食べたい?」
「お母しゃんとおんなじの」
「んー、母さんは食べられないんだよ。今日もお粥さんかな」
「じゃあ、あかりもおかゆさん」
「あかりは栄養あるもの食べなきゃ」
「えいよー?」
「人参さんかな」
「いや!」
「ははは」

二人が話していると、善逸の知らない男が入ってきた。賢そうな少年だ。善逸より五歳程年下だろうか。

「こんにちは。光希先生の旦那様ですね」
「あ、はい。妻がいつもお世話になっております」

互いに挨拶をして、頭を下げる。

「村田さんから書面を受け取りました。こちらのことは何も気にせずに、とお伝えください。……先生の性格からしてそれは難しいでしょうが」
「伝えておきます」
「明日もお休みください。俺が授業をしますので大丈夫です」

少年は爽やかな笑顔を見せた。
彼は善逸の膝上のあかりへと視線を動かす。

「あかりちゃん、だったよね?ちっちゃい時に会ってるんだけど、覚えてないよね」

少年は優しく笑いかける。子ども好きのようだ。
あかりはきょとんとしている。

「あかり、ご挨拶」
「こんにちは、あがつまあかりです」
「はは、お利口さんだね。いくつなの?」
「ふたつ」
「へぇ、俺は光太郎。よろしくね」

少年はあかりの頭を撫でる。
雰囲気が誰かに似ている、と善逸は思った。

「こうちゃん」
「あかり、光太郎さん、だ」
「はは、いいですよ、こうちゃんで」

そう言うと、扉の向こうから村田が声をかける。

「光太郎ー、……じゃない、光太郎先生。今日の講義だけど……」
「はーい。では、失礼します」

光太郎はニコリと笑って頭を下げて、部屋から出ていった。



……やっぱり誰かに似てる。誰にだろ…?


善逸は首を傾げた。


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