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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第77章 愛しき君へ


善逸は、周りに人がいないことを確認して足を止める。腰をかがめて、ちゅっと口付けを落とす。

「もう。家まで待ちなさいよ……」
「可愛すぎて無理。……あー、早く家に帰って抱きてえ」
「しばらく無理だってば」
「わかってるよ!本日より我慢大会を開始します!」
「優勝商品は?」
「我妻家、第二子」
「ふふふ。なら、頑張れるね」
「勿論だ」

二人は繋がれた手をしっかりと握り合い、また一緒に歩き出す。



夕日を見ながら、光希は思う。


この先も、沢山手を繋ごう
ずっと繋いできた、優しいあなたの手を


私たちは逸れない

きっと聴こえるの
やかましい声と雷鳴が

きっと見えるの
鮮やかな髪色と稲光が

差し出されたこの手を、私はもう迷わずに掴むことができるから


そしていつかこの手を離す時が来ても
ありがとう、と言ってお別れできるように

今を大事に、この手を繋ごう


人に忘れ去られた時が死だというのなら、私が死ぬことは決してない
貴方が生きている限り、命も想いも魂も……どこまでも続いていく



「光希、愛してる」
「私も愛してるよ、善逸さん」


――――貴方に会えて、本当によかった



愛しき君へ
ありったけの感謝をこめて伝えよう


「ずっとずっと、大好きだよ。善逸」





夕日が、四人を見守るように照らしていた。





終わり。

あとがき→

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