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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第77章 愛しき君へ


光希の怒りはまだまだ収まらない。

「は?何に対してのごめんだよ!……しかも、今お前諦めようって言おうとしただろ?それは絶対に言っちゃいけないことだろが!お前は父親なんだぞ!子どもの命を諦めるなんてことは、絶対にしちゃいけないんだ!」
「そうだけど!でも、俺はお前のことが心配で……」

「どんな理由だとしても、俺はお前を許さねえ」
「俺って言うな!あかりが見てんだろが!」
「……なら道場でボコってやる。来い」
「はぁ?!妊婦が何言ってんの?!馬鹿なの?」
「馬鹿はお前だ。ぶっ叩かないと気が済まねえ!」


「はい!二人ともそこまで!」

千代が、ハタキで二人をベシッと叩く。

「もう、何してるの。あかりがびっくりしてるでしょ!」
「その通りだ。なあ、あかり」
「へいき。お父しゃんとお母しゃん、お家でいつもわーわーしてる」
「もう!家でも喧嘩してるの?駄目でしょ」
「あかりが見慣れる程に喧嘩するな。馬鹿者」

千代と義勇に叱られて、光希も正気を取り戻す。

「ごめんなさい」
「すみません……」

しゅんとする光希と善逸。

「二人でしっかりと話し合うんだ」
「話す必要はありませんよ。私はもう決めているから」
「駄目だ。きちんと話すんだ。これは二人のことなんだぞ。お前一人で決めていいものではない。善逸の気持ちも考えろ」
「…………」
「そうよ、光希。私もあなたの気持ちはよくわかるけど、善逸が感じる恐怖もわかるわ。時間をかけてしっかり話し合いなさい、ね」
「………はい」

光希はスッと立ち上がる。

「義勇さん、道場おかりします」
「殴り合うのか?」
「それもいいけど、とりあえず話し合いをさせてください。あかり、見ててもらえますか?」
「構わない。冷静にな」
「いくよ、善逸…さん」
「……おう」

二人は連れ立って道場へ行った。


「お前の母さん、怒ると怖いな」

義勇が膝の上のあかりに話しかける。

「お父しゃん、よくおこられてる。あかりはおこられないよ?」
「そうか、凄いな」
「でも、わーわーしたあと、ごめんなさいして、ちゃんとなかよしだよ」
「うん。それなら、いい」

義勇は微笑みを浮かべてあかりを撫でた。

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